Merry christmas, Mr.Lawrence
あー、2日空いてしまった…どこかで取り戻さねば…
ふらっと気が向いて、『戦場のメリークリスマス』のDVDを観ました。
たぶん、名前だけは、あるいは音楽だけは、あるいはビートたけしと坂本龍一とデヴィッドボウイというキャスティングだけは、知ってる人が多いんじゃないでしょうか。
ボウイ好きとしては、遅ればせながらという感じです…
これ戦争映画じゃないですよ。今風に言うと、BLですか。
ある種、高雅なホモセクシュアルと、死と隣り合わせの戦中における異常な精神状態とをベースに、日本やイギリスの精神の良い所も、悪い所も(こっちの方が前面に出てくるかな)まじえつつ描かれています。
最後のシーンが、絶賛されているんでしたっけね。
確かに、中盤でボウイ扮する英国軍人が、たけしさん演じる日本軍人の顔を見て、「変な顔。でも美しい瞳(め)をしている」と評する場面があっての、あのたけしさんの顔は、友情の喜び、あきらめ、懇願、やるせなさ、淋しさ、悲しみ、いろんなものが綯い交ぜになった、絶妙なものでした。
個人的には、あの有名なメロディーが、まずいきなり冒頭から流れてくるんだな―と、後世に生まれてくる者なりの驚きを感じました。
作中では大事な時しかBGMが流れなくて、あのメロディーは冒頭と、そして最後にまた回帰してくる。
東洋風かと思いきやそうでもない、ほんと不思議な和音です。ただ、落ち着きます。
劇的かつ静謐なこの音楽、そりゃアカデミー賞も獲りますよねえ。
印象に残ったのが、「私は君の秩序のために死ぬのだな」というセリフ。
誰もが正義を振りかざして、誰もが間違っている世界では、きっとありふれたこと…
これ、戦争に限らないと思うんですよ。もっと日常的な(戦争が日常じゃないと言える幸せ!)生活の中で、自分の狭い視野で培われたものさしで相手をはかってしまうこと、巻き込んでしまうこと、貶めてしまうこと、あるんじゃないかなあ。
正しい道を信じるのと並行して、相手の信じるものをおしはかる作業もしなければならない、そうしなければ相手を(社会的に)殺してしまう場合さえある、と、ちょっぴり肝が冷えた感覚。
あと外せないのは、ボウイの英国軍人が坂本龍一の日本軍人にキスするところかなあ。
触れるだけの挨拶のようなキス。ボウイが険しい表情なのが良いと思う。精神的にも身体的にもギリギリの中でも、何か他者を少しでも楽にするような力を持っていた彼。
イギリス人に惹かれているという事実を認めたくなかった日本人の心を、敵の心さえも、救ってしまったのでしょう。
美しい、と思いました。
余談ですが、「ヘルシング」のヒラコー先生は、この時のボウイのかっこよさをモデルにして、ベルナドットというキャラクターを生み出したそうです。
いやわかります。なんせかっこいいです。坂本龍一も掘れます(あながち誤字じゃない笑)