Rachmaninoff Piano Concerto No.2

ラフマニノフのピアノ協奏曲2番といえば、映画やドラマでも多数使用されて有名な曲ですが、フィギュアスケート浅田真央選手が今シーズン使用したことで、日本人にはもうおなじみの曲になったかもしれませんね。

私もこの冬は、この曲に縁があったようで、12月には大学オケの方でも演奏しましたし、3月には大学の表現学科(音楽科みたいなところ)の卒業演奏会でも演奏する機会がありました。

 

ロマンチストの気があるらしい私なら、ラフマニノフみたいなのは好きそうに思われるんですが、そうでもないんですよね。同族嫌悪といったらラフマさんに申し訳ないんですけど、ロマンティック、メランコリックが具現化したようなこの音楽を直視するには、私はまだまだのようです。

 

でも、12月の演奏会で、ソリストの方のピアノ、プロの方のそれから受けとる強烈な何かがありました。

今回お世話になった方は、本番前には控室でタバコをくゆらし、本番のドレスも紫にストレートラインで髪型もシックな感じ、「あんまり飾り立てるの好きじゃないのよね」と笑ってみせる素敵な女性でしたが、本番の演奏も、凍てつく風が吹きすさぶ雪原に、曇天の隙間から朝日の光が差し込んでキラキラ光るような、ラフマニノフとしてはあまりねちっこくないものでした。

 

「間」をとりすぎないんです。待ってと言う間もなく笑いながら通り過ぎていく。手を伸ばしても彼女の髪が指先をかすめていくだけで掴めない。だからこそ惹かれるものがある。まさに夢物語のような。

テンポも、肝心な時しか動かない。そのわずかな揺れが、心の隙間に突き刺さる。

音楽が語り過ぎていない。後の判断は聴き手に委ねている。それでいて自分の魅力は最大限に発揮する。

これが、大人の余裕というやつですか…見習いたい…笑

 

この時の演奏会では、メインにチャイコフスキー交響曲第5番を演奏したのですが、みんな頑張ってくれたので、すこぶる評判が良かったです。そして、曲も曲ですし、私のティンパニも派手らしいので笑、ティンパニの評判もすこぶる良かったのです。本番でもホルンソリストの次に立たせてもらえました。えへん。

 

ただ1人、「でもあなたの場合は、ラフ2の方が良かったよね。ロマンチストなあなたのことだから、音をどうやって出すかより、出した後の音をどうコントロールするかを大事にするんでしょ。それが活きるのはラフ2の方だった。」と、ずばり言い当ててくだすった方がいらっしゃいまして…私の敬愛するお方(だからこそ敬愛するのだ)、私のことを最初にロマンチストだと評してくれたのもこの人だった(「打楽器で歌える人は珍しいよ」だって、きゃー!///)、見透かされている…!笑

わかってもらえる人にはわかってもらえる、あー音楽で人に伝えることができたんだって、嬉しくなりましたね。

 

受け取るものが多かったという意味では、ラフ2も、好きな曲の1つになりました。というより思い出の曲かな。ふとしたときに聴くと元気をもらえるような。

浅田さんも、何年後かに聴いて、昔頑張ったことを懐かしみ、誇れるような気持ちになってほしいな。しみじみ。